副鼻腔がん

執筆者:Bradley A. Schiff, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine
レビュー/改訂 2022年 12月
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やさしくわかる病気事典

副鼻腔がんは、副鼻腔に発生するがんで、通常は上顎洞(じょうがくどう)と篩骨洞(しこつどう)に発生します。

副鼻腔がんは米国ではまれですが、日本人や南アフリカのバンツー族には多い病気です。このがんの原因は明らかではありませんが、喫煙者や、ある種の木材や金属の微細な粉(粉塵)を日常的に吸い込んでいる人に多くみられます。ヒトパピローマウイルス(HPV)エプスタイン-バー(EB)ウイルスが関与していることもあります。慢性副鼻腔炎がこのがんの原因となるとは考えられていません。

口、鼻、のどのがんの概要も参照のこと。)

副鼻腔ふくびくう位置いち

副鼻腔がんの症状

副鼻腔がんの症状は、がんが近くの構造を圧迫すると現れ、具体的には以下のものがあります。

  • 痛み

  • 鼻がつまった感覚

  • 複視

  • 鼻出血

  • 耳の痛みや耳閉感(耳が詰まった感じ)

  • 顔面のしびれまたはピリピリ感

  • がんのある副鼻腔の下にある、上の歯のゆるみ

副鼻腔には早期のがんが近くの構造を圧迫することなく大きくなれるだけの空間があるため、ほとんどの人ではがんがかなり進行するまで症状が出ません。

副鼻腔がんの診断

  • 画像検査

  • 生検

腫瘍の位置を割り出し、その大きさを確認するために画像検査(一般的にはCT検査およびMRI検査)が行われます。がんであることを確定するために、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる検査(生検)が行われます。腫瘍の観察や生検、ときに切除のために、内視鏡(観察用の柔軟な細い管状の機器)が使用されます。

副鼻腔がんの予後(経過の見通し)

治療開始が早いほど、副鼻腔がんの予後(経過の見通し)は良好です。しかし、生存率は一般的によくありません。全体として、副鼻腔がんの患者のうち5年以上生存するのは約60%です。

副鼻腔がんの治療

  • 手術

  • 放射線療法

  • 化学療法

副鼻腔がんの治療では手術放射線療法が併用されます。最近は手術技術が進歩したため、一部の腫瘍は鼻を介して内視鏡で完全に切除することが可能になっています。これにより、がんに侵されていない顔の部分(眼など)が温存できるため、手術後の容貌と機能が改善します。手術の後に腫瘍が再発する可能性が高い場合は放射線療法が行われます。手術を行ったとしても効果がない場合や、特定の腫瘍に対して手術が難しすぎる場合は、放射線療法または化学療法を初期治療として行うこともあります。

さらなる情報

以下の英語の資料が役に立つかもしれません。こちらの情報源の内容について、MSDマニュアルでは責任を負いませんのでご了承ください。

  1. 米国がん協会(American Cancer Society):鼻腔がんと副鼻腔がん

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